2017年4月21日金曜日

西洋記56

 また牛の陣がしかれ、姜金定が攻めてくる。天師が髪を解き、はだしで、剣を持ち、歩いて出る。姜金定の鞭の音で牛は押し寄せ、天師の雷で去る。また姜金定の鞭で押し寄せる。

 天師は負けをよそおって海に向かって逃げる。犀牛が追ってくる。天師は以前のように草龍にまたがって犀牛の後ろに回り、雷を響かせ、大風を吹かせ、朱色の頭黄色い尾、百の足のある蜈蚣に犀牛を襲わせる。犀牛は鼻に輪っかをつけられ、海に入ってしまう。そうとは知らず犀牛で勝利を得ようとした姜金定を天師は再び捕らえる。犀牛は本物で、安南国のものだという。

 姜金定の首を斬って哈密西関の上にかけさせ、骨を焼かせると、火の中に姜金定が現れるが頭がないので話ができない。死を納得できない様子である。

 その夜の三更、あたりに光が満ち、たくさんの夫人の頭が現れ、口々に冤罪を叫んだという。

0 件のコメント:

コメントを投稿