2016年6月8日水曜日

西洋記51

 羊角大仙は怒り、剣を飛ばす。今日の長老は以前とは違う。長老が衣の袖をひらひらさせると、剣は袖の中に入ってしまった。
 斬妖剣を取られた羊角大仙はあわて、軒轅鏡で照らそうとするが、やはり鏡も飛んで行って長老の袖の中に入ってしまう。
 斬妖剣も軒轅鏡も取られた羊角大仙はこれでは東天門に戻れないとあわてて、鹿の角を左から敲き右から敲きして上に下にと飛び回らせる。長老が、もう他に宝はないのか、と言うと、羊角大仙は雷のように怒ってののしり、鹿を走らせて長老に近寄り、小さな令字旗を使おうとするが、やはり長老の袖の中に入っていってしまう。
 羊角大仙は、相手が聚宝筒を使ったのだと知り、師匠の元始天尊なみの力を長老が持っているのか、と恐ろしくなる。だが、金蓮宝象国で大口を叩いたので引くことはできない。
 宝を騙りとっておいて善哉善哉とは何だ、と叫ぶ。長老は、帰山を勧めに来たのだと言い、説得するが、口では言うことを聞かないので、一尺二寸の小さな和尚たちを出し、羊角仙人の足を打たせる。これにはたまらず、羊角大仙は雲を起こす。
 師匠の元始天尊が呼んでいる、弟弟子は魏化真人だろう、などと言われ、正体がばれているとわかったところに、魏化真人が現れ、火雲宮に帰ろうと言う。羊角大仙は、急脚鬼をつかわし、三つの錦嚢の計を姜金定に送って、雲を走らせて去る。