2015年6月28日日曜日

西洋記27

第十五回 碧峰図西洋各国 朝廷選掛印將軍

 碧峰長老は自分は軟水洋を越えることができると言い、そこから南は南膳部洲、軟水洋から西に行けば西牛賀洲つまり西洋国だと言い、十八の国の名を挙げて説明する。それによれば、

一 金蓮宝象国
二 爪哇国
三 女児国
四 蘇門答剌国
五 撒發国
六 淄山国
七 大葛蘭国
八 柯枝国
九 小葛蘭国
十 古俚国
十一 金眼国
十二 吸葛刺国
十三 木骨国
十四 忽魯国
十五 銀眼国
十六 阿丹国
十七 天方国
十八 酆都鬼国

 天子はどのぐらいの人員兵力が必要かと問う。
 これにも文書が用意されており

総兵官一人 征西大元帥
副総兵官一人 征西副元帥
左先鋒一人 征西左先鋒大將軍
右先鋒一人 征西右先鋒副將軍
五営大都督五人 中都、左都、右都、坐都、行都の各征西大都督
四哨副都督四人 参将、游擊、都事、把總の各征西副都督
指揮官百人
千戸官百五十人
百戸官五百人
管糧草戸部官一人
観星斗陰陽官十人
通訳番書教諭官十人
通事的舍人十名
打乾的余丁十名
管医薬的医官医士百三十二名
三百六十行匠人 毎行二十名
雄兵勇士 三万名ちょっと
神楽観道士 二百五十名
朝天宮道士 二百五十名

 さらに、国師として碧峰長老、天師として張天師が向かうことになる。

 そして必要な船団として

 九本の旗竿のある宝船三十六隻 長四十四丈四尺 幅十八丈
 五本の旗竿のある戦船百八十隻 長十八丈 幅六丈八尺
 六本の旗竿のある座船三百隻 長二十四丈 幅九丈四尺 
 八本の旗竿のある馬船七百隻 長三十七丈 幅十五丈
 七本の旗竿のある兵糧船二百四十隻 長二十八丈 幅十二丈

 合計一千四百五十六隻が記された文書が渡される。
 天子は、かかる費用が莫大になるのを憂うが、伝国の玉璽を取り戻したいという気持ちが勝る。

 皆に下す印についても、宝物庫のもので足りることがわかり、皇帝は翌日、百官を集めて、西洋行きを命じる。

 天文官の星読みなどをもとに、人員が決められていく。

 三宝太監・鄭和が征西大元帥の印をいただき、総兵官となることになる。

 他、推挙されて人員が定まっていく。

 ここで、「一個站著,就是李天王降下凡塵,手裡只少一把降魔劍」「一個坐下,恰如真武爺坐鎮北極,面前只少一桿七星旗」といったように、神々がたとえに出されているのも、神怪的に面白い。

2015年6月27日土曜日

西洋記26

第十四回 張天師倒埋碧峰 金碧峰先朝万歳

 天子は、張天師に金牌を与え、五台山文殊寺の碧峰長老に会いに行かせる。

 碧峰長老は、張天師の思惑を察知し、五台山の僧たち、弟子の非幻、孫弟子の雲谷とともに迎える準備をする。

 張天師は、たくさんの僧たちに出迎えられる。そこに碧峰長老がいないので、張天師はなぜ長老が聖旨を聞きに出迎えないのか僧たちにたずねる。
 方丈にいるといわれて進むと、棺がある、壊すと、中で長老が死んだようになっている。
 張天師は閉息の法だろうと思うが、一計を案じて碧峰長老を埋葬しようとする。

 張天師は、深い穴を掘らせ、頭を下に足を上に棺を入れる。だが、これはすべて碧峰長老が事前に見透かしていたとおりだった。碧峰長老は裏をかいて、南京に向かい、天子に目通りし、張天師に恥をかかせることにする。

 張天師が碧峰長老を埋葬して南京に戻った時には、碧峰長老は天子に目通りし、張天師が碧峰長老を逆さまに葬ったことを話していた。
 張天師は喪に服す装いで天子に目通りし、碧峰長老の喪に服しているのだと言う。
 天子が碧峰長老を呼ぶ。張天師は大恥をかかされ、碧峰長老に拝礼する。

 天子は碧峰長老に話をし、西洋行きを問う。

 碧峰長老は西洋方面の山や海や国の名が書かれた絵地図を天子に見せる。

 碧峰長老は西洋に行くには吸鉄峰や軟水洋といった難所があるという話をする。

 天子は軟水をどうしたら越えられるのかと問う。