2014年1月17日金曜日

西洋記14

第七回 九環錫杖施威能 四路妖精皆掃盡

 長老が土地神から、妖怪一家の事を聞きだす。

 四つの房があり、大房には32人の子どもを持つ妖怪、他の三房には一人ずつがいるという。
 土地神は妖怪の名前を知らず、大房の妖怪を天罡精、二房の妖怪を鴨蛋精、三房を葫蘆精、四房を蛇船精と呼んでいる。
 山の上のが四房で九曲溪流の上にある。第三房は羅浮山の上、二房は峨眉山の上、大房は五台山の上。

 長老と二人は日々進む、
 齊雲亭で碑文にあった朱文公の七言四句を読むと、空に火光が走り、大きな音が響き、怪風が吹き、激しい雨が降る。
 長老が亭上で目を閉じ、精神を集中させると雨は収まり雲は散り、日が差す。
 現れた猛漢・蛇船大王を長老が説得する。長老は蛇船大王をさまざまに化けさせ、九環錫杖で打ちすえると、妖怪は南に逃げる。
 二つの山がひとつになった山に着く。
 道書にある十大洞天のひとつ羅浮山であった。
 毛だらけのひょうたんがあり、これこそが妖怪。
 先ほど逃げてきた妖怪と二匹ともを九環錫杖で照らすと、二匹の妖怪は玉鵝峰に逃げる。
 峰々を巡る妖怪を追い、変化したのを錫杖で打ち、正体をあばくと、次は西北にむかって逃げた。
 峨眉山で三匹に増えた妖怪をさらに追い、五台山でさらに妖怪は合流、
貓頭豬嘴の蛇船精、毛頭毛臉の葫蘆精、藍頭藍面の鴨蛋精、三十三匹の天罡精がそろう。

 妖怪たちは、風に、雨に、霧にと、次々に変化してみせる。
 次から次へと、物づくし、故事づくしで変化しつくしたところで、長老が、他のものに姿を変えるのはもういいから、自分の姿を変えろという。

2014年1月13日月曜日

西洋記13

第六回 碧峰會衆生證果 武夷山佛祖降魔

 飛喚の伝えた詞から、長老は雲谷は武夷山に行ったのだろうと言う。

 飛喚は以前、錫で飛んで南国に行ったり、杯に乗って北溟を渡ったりしたことがあり、五嶽に行ってくるという。

 長老が神通力をあらわし、共に五岳をめぐる。
 東嶽には齊天仁聖大帝金虹氏がいてその職分は… というのが語られ、山に何があるかが語られる。
 次々に、西嶽には金天順聖大帝姓善名■、南嶽には司天昭聖大帝、姓崇名裡、北嶽には安天玄聖大帝姓晨名萼、中嶽には中天崇聖大帝、姓惲名善、それぞれ職分と山の様子が語られる。



 二人はいったんもどり、長老は法会で講義をする。
 長老は神通力をあらわし、次は四瀆の詳細。江瀆には廣源順濟王、これは楚の屈原大夫などと。

 五嶽四瀆に連なる法話問答がなされる。

 手の中に文字を書いて見せ合い、飛喚の法名は飛→非、喚→幻 で非幻となる。後の無涯永禪師である。

 体は東土にありながら心神は西天に飛ぶ。
 茶頭が茶を持ってくる。
 長老が力を使い、《贊佛詞》が語られ、円満となって実が実る。
 三十六峰の説話が語られる。天柱峰のでは、魏の王子の騫和張湛等十三人がみなこの峰の下で得道した、洞中霊怪十三子など。
 昔、山の上にいた仙人が武夷君と名乗った事から武夷山というなどの説話。

 長老は、非幻が二人いることに気付く。六個の仙人掌にあわせて非幻は六人になり、長老が慧眼で見破ると、二人が人間で四人は鬼であった。
 長老は杖で打って四人を去らせる。残る二人は非幻と探していた雲谷、後の無盡溥禪師である。

 妖怪がいるという。その由来を調べるために長老が呼び出すと、長老の前に、東方揭諦神、西方揭諦神、南方揭諦神、北方揭諦神、中方揭諦神、日遊神、夜遊神、巡山邏候、数多くの土地神が現れる。


--------

 というわけで、大量の神様の名前が出てきています。説話もいろいろ。
 ほとんど観光案内的に名所の様子が描かれているのも小説としては壊れているけれど史料価値的にはありという感じでしょうか。