2017年4月16日日曜日

『女仙外史』の訳本について

『女仙外史』のこれまでの訳本についてのメモ

◎『通俗大明女仙伝』江戸時代の和書 十二巻までで、未完

寛政1(1789)
著者 呂熊 [撰] 滄浪居主人(三宅嘯山、 1718-1801) [訳]

 『近世白話小説翻訳集』 (1985、汲古書院)に収められている。

 江戸時代の物なので、返り点をうっただけの部分、日本語に訳してある部分が入り交じる。かなはカタカナ。

 賛のついた浮世絵風の人物画がついている。
「建文帝」「唐賽児」「曼陀尼」「鮑道姑」「呂律」「劉越」「燕王」「姚廣孝」の八人。


◎幸田露伴「運命」

 翻訳ではないが、幸田露伴「運命」の作中に『女仙外史』の内容紹介がある。





『緑野仙踪』『綠野仙蹤』の日本語訳について

『緑野仙踪』『緑野仙蹤』のこれまでの日本語訳本についてのメモ。

◎「綠野の仙人」奥野信太郎訳「世界少年少女文学全集」に収められている。1956年、創元社
  作者名は不明とされている。

  児童向け抄訳。  大人向けのシーンはすべてカットされている。
  わずか115ページにまとめられているが、読みやすく、バランスの良い訳。

  主人公名は「冷于冰」  倭寇の大将は「夷目妙美(いもくみょうび)」

  仙人小説、仙術小説と呼んでいる。



 ◎『不老不死仙遊記』(上、下)山県初男、竹内克己 共訳 1933年、立命館出版
 作者名は 李百川 撰

  抄訳。  何分、戦前の本のため、旧字旧仮名遣い、またシーンによっては伏せ字が多い。

  前半、火龍真人に会って雷火珠をもらって別れるまではすべてカット。
  火龍真人と別れて旅に出たところから始まる。

  愛憎、妓楼などの大人向けシーンも入っているが、伏せ字が多い。

 670ページほどにまとめられている。
  主人公名「冷于氷」  倭寇の大将は「壱岐妙明(いきただあき)、伊集院妙明」とされている。

  底本の記載はないが、思うに、八十回本の抄訳かと思われる。

 『西遊記』を仏教小説、『緑野仙踪』を道教小説として有名だと紹介している。

2017年4月5日水曜日

『狐狸縁全伝』紙の本 発売!

 Kindle版に続いて、『狐狸縁全伝』の紙の本、(オンデマンド版、ペーパーバック)も発売になりました。  表紙のイラストもきれいに発色されていて、フォントも雰囲気に合っていて読みやすいです。  3年ちょっとの成果、どうぞよろしくお願い致します。  290ページ、2400円(本体価格)です。

2017年3月27日月曜日

『狐狸縁全伝』Kindle版発売

 実は『狐狸縁全伝』意外にも、現在手に入る邦訳がなかったことがわかったため、手をつけて、途中から介護も入って進められずに、ここ3年ちょっとかかっていたんですが、清明節までに何とかとがんばって、とりあえず、『狐狸縁全伝』Kindle版発売にこぎつけました。

 ヒロインは九尾の狐なのですが、 『封神演義』の妲己とはまたひと味違う。恋愛小説のヒロインとして、これまでの九尾の狐のイメージが変わること請け合いです。

 命がけの恋に始まり、コミカルな道士や、風格溢れる呂洞賓や、二郎神や哪吒が出て来ての大乱戦となり、と変化に富んだ、清代の神怪小説の佳作です。

 紙の本は4月発売です。


↓Kindle版、クリックで買えます。価格700円。よろしくお願いいたします。

2016年8月25日木曜日

西洋記53

第三十一回 姜金定三施妙計 張天師淨掃妖兵

 水牛のことをたずねられた張天師は、風天小畜の卦が出たから大きな害にはならないと言う。
 元帥にこわれて、張天師が出陣する。
 水牛には小さな子どもが鞭を持って乗っていて、馬に乗った姜金定が進めと言えば進み、急げと言えば急ぐ。
 張天師が七星剣を使うが一匹に切りつけられただけで、残りの水牛が殺到、張天師は馬をすて、草龍にまたがって空に逃げる。と同時に、飛符を焼いて天神を呼ぶ。
 その天神は、鉄の冠、黒い服、玉帯をつけ、竹節鋼鞭を持ち、まだらの顔をした虎(斑斕虎)に乗り、四人の鬼を左右に従えていた。
 龍虎玄壇趙元帥である。
 天神は水牛の群を見て、牛は本物で牛の背の子どもは偽物だと言う。
 趙元帥は鞭で牛を打つが、牛が集まってきて、やむなく雲を起こして逃げる。

2016年7月15日金曜日

西洋記52

 無底洞は師匠が雲に乗ってくるのを見て、連れて行ってもらおうとしたが、小さな和尚に邪魔され、やむなく師弟は別れることになった。
 長老が宝船に帰って三宝太監らと話をしていると、一尺二寸の小さな和尚が無底洞を連れて現れる。小さな和尚は阿難使者であった。無底洞は出身や有底洞のこと、姜金定が火囤で去ったことなどを話す。有底洞の出身は看財童子(銭奴児)。
 三宝太監たちは無底洞を処罰したがったが長老は許してやってほしいと言う。
 そこへ姜金定が戦いに来たという報告がある。張柏が八十四斤の狼牙棒を手に、王良が丈八の槍を手に出陣する。
 見れば、数え切れないほどの数の水牛が迫ってくる。それを馬に乗った姜金定があやつっている。
 これは羊角道徳真君の詭計に違いない、どれが本物だろうなどと言っている間に水牛が迫ってきて、敗退する。左右に分かれて出た片方は傷を受け、片方は無傷であった。

2016年6月8日水曜日

西洋記51

 羊角大仙は怒り、剣を飛ばす。今日の長老は以前とは違う。長老が衣の袖をひらひらさせると、剣は袖の中に入ってしまった。
 斬妖剣を取られた羊角大仙はあわて、軒轅鏡で照らそうとするが、やはり鏡も飛んで行って長老の袖の中に入ってしまう。
 斬妖剣も軒轅鏡も取られた羊角大仙はこれでは東天門に戻れないとあわてて、鹿の角を左から敲き右から敲きして上に下にと飛び回らせる。長老が、もう他に宝はないのか、と言うと、羊角大仙は雷のように怒ってののしり、鹿を走らせて長老に近寄り、小さな令字旗を使おうとするが、やはり長老の袖の中に入っていってしまう。
 羊角大仙は、相手が聚宝筒を使ったのだと知り、師匠の元始天尊なみの力を長老が持っているのか、と恐ろしくなる。だが、金蓮宝象国で大口を叩いたので引くことはできない。
 宝を騙りとっておいて善哉善哉とは何だ、と叫ぶ。長老は、帰山を勧めに来たのだと言い、説得するが、口では言うことを聞かないので、一尺二寸の小さな和尚たちを出し、羊角仙人の足を打たせる。これにはたまらず、羊角大仙は雲を起こす。
 師匠の元始天尊が呼んでいる、弟弟子は魏化真人だろう、などと言われ、正体がばれているとわかったところに、魏化真人が現れ、火雲宮に帰ろうと言う。羊角大仙は、急脚鬼をつかわし、三つの錦嚢の計を姜金定に送って、雲を走らせて去る。